COLUMN
No.56
先日の 「大西の家」 での打合せの中で、施主支給や別途工事に関する話が出ました。
知合いまたはネットなどでは、工務店に依頼するよりも費用的に安く済む場合があり、当然、費用を出す側(施主側)としては安いに越したことがないので、「知合い価格」 や 「価格.com」 などで納入したいという考えになります。
いつも私がお話しするのは、特にメンテナンスが必要でないもの、単に取り付けるだけの既製品はネットなどで購入していただいて、取り付けは建物を施工する工務店に依頼するのは構わないとお話しします。(取り付け費用は工務店側に対して必要です)ただし、特に水栓金具などの設備機器については、工務店に製品と取り付け工事の 「材工(ざいこう)」 とも、一括で依頼した方が良いとお話しします。
衛生関係は、水漏れなどのトラブルが床材などを濡らしたり水浸しになる可能性があり、早急な対応が必要になります。そうした緊急時の対応は、とりあえずは施工した工務店に依頼するのが一番ですが、水漏れなどの原因が施主支給の製品にあるとなると、製品の取り換えに応じてくれるのか、素早い誠実な対応が期待できるのかなどの問題が出てきます。トラブルの責任の所在がどちらにあるのか、などと揉めることもあります。
以前も、洋モノの水栓金具だけを友人の建材屋さんから別途で納入したお施主さまがみえましたが、引渡し直後にその水栓金具から微量の水漏れがあり、金具の点検や取り換えをその建材屋さんに依頼してください、とお願いしたのですが、建材屋さんの営業マンが忙しいのか、1週間経っても見にも来てくれない、と言うことがありました。その間、微量に水漏れが続いていました。
これは、その営業マンや建材屋さんの姿勢の問題もありますが、通常、取り付け工事までを請け負っていない、「金具を売る」 ことがメインの営業マンに、すぐに動いてくれるメンテナンスの協力業者がいるとは限らないこと、金具を売った値段にメンテナンス費用は含まれていないため、メンテナンスの人間に動いてもらうだけで費用が発生することが、素早いメンテナンス対応を拒む原因になります。
こういった緊急時のメンテナンスなどの 「機器以外の目に見えない費用」 を削っているためにネットなどでは安く提供できるのです。それを理解した上で、機器はネットで購入し、万が一のメンテナンスのときにはその都度メンテナンス費用を支払うという考え方であれば、それはそれでOKです。万が一のトラブルの発生リスクと、発生した時のコストを照らし合わせて、費用対効果を検討する必要があります。
材工とも工務店なりハウスメーカーなりで依頼していれば、トラブルの時の初期対応や原因追及などは施工者としての責任から誠実な対応をしてくれるところが多いです。ネットで 「一番の格安」 を競っている業者はどうでしょうか。これらのことを踏まえて、施主支給や別途工事を考える必要があります。
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