COLUMN

No.10
雨漏り 2004/10/22

 今年は台風の当たり年である。

 先日も、東京で働いている中学時代の友人から、大雨の日に実家が雨漏りしたとの連絡を受けた。自分は東京だし、実家に住んでいるのは友人のお母さんと、おばあさんの、女性だけで建築の素人なので何とか対応して欲しいと。
 早速、次の日に伺ったところ、2階の和室の天井から雨漏りしていた。原因は、和室の上の3階のバルコニーのシート防水が爆裂していて、大量の雨水がシートの下に回りこんでいた。相談の結果、シート防水を完全に撤去して、防水のやり替えをした。

 一安心だと思っていた矢先、先日の台風23号の日。午前中から雨が降り続き、夕方から夜にかけて東海地方に接近する、とラジオでも言っていたのだが、その夕方4時ごろ、お母さんから携帯に電話が。 「台風なので早めに仕事をあがって帰ってきたら、また和室から雨漏りしている・・・。」聞いたとき一瞬ドキッとして、「先日やり替えた防水の処理が悪かったのか?・・・だけど今回は立上りまで全部やり替えているのでそんなはずは・・・」と思いながら、「今から行きます。」と言うと、不安げに話していた電話口のお母さんが、明らかに安堵した声で「悪いわねえ、来てくれるの?」と。
 外は台風が接近していて暴風雨の状態では、いくら現場に行ったところで雨漏りの処置はできない。雨漏りは入ってくる入り口をふさがないと、内側でいくら止めようと思っても完全には止められない。そして、防水のプロでもない私が行ったところでどうしようもない。しかし、先日防水をやり直して一安心と思っていたお母さんからすれば、どうして?との不安は大きいはず、とりあえず行かないと。

 着いて、和室の天井を一部めくり、天井裏を確認すると鉄骨の梁を伝って雫がポタポタときていた。同じ和室でも、前回雨漏りしていた部分は今回は濡れていない。そうなると前回とは別の部分からの雨漏りだ。和室の上のバルコニーを点検しても、やり替えた防水の部分では問題ない。どこだ、どこだと探しても大雨の中ではなかなか判らない。出入り口のサッシ周りじゃないかと見てみても、コーキングが切れている様子はないし、と、ふとサッシの上を見ると、サッシ上についている小庇の根元側からサッシの上部に水が伝っている。
 原因は、小庇の上が板金で被せてあるのだけれど、その板金のジョイントが切りっ放しの板同士をコーキングだけで押えてあったため、劣化でコーキングが切れていて、そこから吹きつける雨が大量に入り込んでいたものだった。(そもそも、板金でそんな納まりはしない。プロがやった仕事ではない。)小庇から入った水は、出入り口のサッシ枠の内部を伝い、下の和室の天井に落ちていたのだった。

  ずぶ濡れになりながらも、原因を突き止められたことと、帰り際にもらった缶コーヒーが収穫だったなと思いながら、でも最大の収穫はお母さんの不安を取り除くことができたことかなと、自分の事務所でひとりパンツを替えながらふと思った。
(ちなみに現場の人間は、こういう日は雨仕舞いなどでずぶ濡れになる。だから、私は自分の事務所に着替えを常備しているのだ。)

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